登山技術講習会


登山でバテない方法と食料補給

1. 食事を摂取しないと筋肉は動かない
登山するときバテないようにするには、炭水化物を使い切らないことが条件である。
クロスカントリーの選手が食事の有無を条件に、自転車エルゴメーターによる疲労と血糖値および主観的運動強度を比較した。
<実験例> (1)朝食有り(心拍数 : 130〜140 内容 : ご飯、ソバの炭水化物中心)
2時間運動して血糖値は下がらず主観的運動強度も「楽」で有った。
(2)朝食無し(心拍数 : 130〜140)
1時間30分で血糖値は低下し、主観的運動強度は「ややきつい」で、続けて2時間20分後に「非常にきつい」運動量は空身で1,300m登山した事になる。
この実験で疲労困憊した選手に、糖分(炭水化物)の入った市販のジュース200mlを与えると、急速に血糖値が回復し運動も再開できた。
2. 食事を摂取しないと脳は働かない
私欲時を摂らないと筋肉疲労だけでなく、脳や神経系も疲労する。
筋肉は脂肪と炭水化物のいずれも栄養にするが、脳は炭水化物(ブドウ糖)のみが栄養で、枯渇すると脳神経系の疲労も筋肉と同時に起きる。
脳神経の能力 理性能力 (思考力、判断力、集中力、意志力)
運動能力 (敏捷性、巧み性、平衡性)
感覚能力 (視覚、聴覚、触覚、温度感) 
炭水化物を使い切るとこれらの能力が全て低下する事になり、筋肉疲労よりもさらに重大事故の引き金になる。
山岳遭難事故は午後3時頃に発生件数が多いのも、脳神経系の栄養である炭水化物の枯渇が大きく影響しているものと思われる。
3. 食事を摂取しないと内臓を痛める
炭水化物が枯渇し始めると身体は防衛反応として、たんぱく質を分解して炭水化物に転換しょうとするがこれは筋肉たんぱく質である。
だから、炭水化物を補給しないで登山すると、筋肉を栄養とすることで身体を傷つけたり痛めたり貧弱にする。
長時間の運動でたんぱく質破壊・低炭素摂取では、汗中尿素(たんぱく質分解物質)が2倍以上発生する。
たんぱく質には窒素が含まれ分解すると、有害窒素化合物が発生するので腎臓で濾過して排出する量は、血液濾過で1.5ton/日をしていることになる。
そのため必要以上にたんぱく質を分解すると腎臓に負担がかかり、山から帰って数時間はむくんているのはそのためである。
これは腎臓が疲労し水分排出能力が、弱ったからで体重も暫く増えたままである。
内臓に負担を掛けない健康登山をするには、腎臓機能の弱っている中高年者は特に炭水化物の補給に配慮する必要がある。
4. 何をどれぐらい摂取すればよいか
炭水化物の補給が最も重要であると同じように、他の栄養素(たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラル)も必要であるが、1〜2日の登山であればそれほど神経を使うことはない。
炭水化物を多く含む食品には、ご飯、餅、麺類、パン、イモ等の澱粉類と砂糖、飴、蜂蜜、チョコレート、キャラメル、ジュースなどの糖類がある。
単糖類は即効性の栄養素で急速に血糖値を上げる作用があり、登山でバテたとき食べると効果的である。
しかし、運動前に多量に摂取すると血糖値が上がり過ぎ、その反動でインスリンにより血糖値を下げる働きが強まり、何も食べないときよりもバテやすくなる。(低血糖状態)
澱粉類は遅効性の栄養で血糖値をゆっくり上昇させるので、澱粉類もご飯や餅・麺類(パスタ)の法がパンやイモより「腹持ち」がよい。
登山はスポーツと言うより労働に近く、特殊な食品を選ぶより普通の食品を正しく摂取することが重要である。
5. どれぐらい食べればよいか
成人が登山するとき空身で1時間1kcalのエネルギーを消費するが、これは体重当たり6kcalで20kgのザックを担ぐと 9kcalになる。
70kgの人が8時間登山すると、空身で(6kcal×70kg×8時間) =3,360kcal
20kgのザックを担ぐと (9kcal×70kg×8時間) =5,040kcal  10kgを担ぐと約4,200kcalを消費する。
登山に必要な 4,000kcalのエネルギーは、脂肪で 2,000kcalと炭水化物の2,000kcalで賄うことになるる
炭水化物は身体に 1,500kca〜l2,000kcal貯蔵しているが、実際に使えるのは枯渇しないように 500mlで残りの1,500kcalは食事の炭水化物で補給するべきである。
ご飯(250kcal)で換算すると1,500kcal補給するには、行動中に6杯食べなければならない。
6. どのように食べるか
朝食は抜かないにしても糖分を多く食べると、かえってバテ易くなるので糖分は澱粉類をとるのがゆうこうである。
昼食として一度に多く食べるのでなく、行動中に定期的に少しずつ(最低2時間/回 UIAA)
食べることを薦める。